深林

感じた事/考えた事/書評/調べ物

散歩、季節について。

散歩が好きだ。
だから今日も歩く。

季節は冬に差し掛かった辺りで、北風に吹かれた桜の葉が、かさかさと音を立てながら小さな螺旋を描き、道路脇に肩を寄せあうように集まっていた。
木々の隙間から差す午後の光は街並みの輪郭をぼやけさせ、冷たく張り詰めた空気のみが、体の輪郭を浮き立たせていた。空は底抜けに青い。


冬のこんな景色がとても好きだ。冷たさが体に沁みて、陽の光が柔らかいくせに妙に眩しくて、子供たちのランドセルの色とかマフラーの色とか、そんな物が妙にくっきり見えて。

反対に、夏はここ数年でようやく好きになれた。昔は、歩いているとどろりとしたゼリーの中をかき分けている様な気分になって、アスファルトの照り返しに苛々して、室内に入れば冷房が効き過ぎていて頭が痛くなった。

好きになったのは、ふと冷静になって見上げた空の大きさだったり(冬の空は広いけど、夏の空はでかいんだ。)夕立の激しさだったり、夏のドラマチックさを理解してからだったと思う。

勿体無い事をしていたなと、少し反省した。

季節は巡るけど、その度に違う出会いを味わい続けたい。
光や音、匂い。木々が芽吹いて、枯れていくまで。賑やかな夏に笑い合って、冬は思い出を肴に酒を飲んだり。
そんな風に、世界と戯れて生きていきたい。

次来る夏へ。